エキサイトの山村さんと言えば、これはもう掛け値なしのネット広告界の巨人。
なんせ、ネットバブル崩壊後Lycos、FreshEye、Infoseekといわゆるポータル系サイトが次々に瓦解していった頃に「あー、Exciteはいつかなー」と思ってたら全然元気でどこに吸収されることもなく孤高の位置を保っていた。アメリカのExcite本社が潰れたときは「あー、いよいよ」って思ったけどそれも切り抜けた。
それは、頭がネット広告あがりの山村さんだったからというのもあろうが、それにしたってただものではない。
で、日経BPのこの記事
単価は10年で100分の1に、ネット広告に「One to One」の弊害
正確に言うと、単価は5年前の時点で100分の1になってた。そこからずっと横ばい。
当然採算が採れないから、いくつもの媒体が閉鎖していっては開かれている。私は既に従来型のネット広告モデルに何の可能性も見出してないので
「とりあえず、面白そうなことやってコンテンツ開いて、収益はAdsenseでー」
「マネタイズは、営業の(経営の)仕事ー」
とか言ってるエンジニアは幸せだなーと思ってるんだけど。
採算割れは続く
さて、以前も考察したけどサーバの維持費を考えると1PV0.01円とか既に採算割れ。だけど、この価格じゃないと売れないんだよね。ページビュー売りできるところはまだよくって、クリック売りとかアフィリエイトとかもう悲惨。
そんな状況のところにブログなんてより1PVあたりのサーバ維持費のかかるものが出てきたからさぁ大変。どーすんのって。
じゃあブランディングってのも聞き飽きた
そこで広告屋が逃げ込むのが「ブランディング」こんなのは10年前から変わってない。変わってるのは「ブランディングがある媒体(Webサイト)とは何か?」っていうやつ。それは
大手ポータル(Yahooとか)や大手新聞社サイト → 女性系サイト → SNS → アルファブロガーサイト
みたいな感じで変遷してきたんじゃないか。Exciteが強かったのはWoman Exciteという女性系のポータルが良い広告源になってたっていうのがあるかもしれない。
でも、女性系サイトも何も変わっちゃいない。女性系サイトは女性誌と同じでメインストリームが無くてほどほどがちょぼちょぼ。週刊少年ジャンプがなくって、全部ヤングアニマル程度。ananになりそうなのが大手小町か?あれは女性版2ちゃんねるという形容もあったりでかなり微妙。
補助にしかならないネット広告
前掲のサイトから
山村:本来、広告は興味がない人にも興味を持ってもらい、マーケットを広げる役割を持っている。One to Oneでは興味がある人だけに見てもらうことになり、市場の食い合いをしている。
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山村:キャンペーン型の広告だけでなく、ブランディング型の広告がネットには来るべきだ。ネットはテレビや雑誌の補助という考え方もあるけど、ネット広告でのブランディングもできるようになる。雑誌しか出さない広告をネットに取り込めないかと考えている。
私は、やはりネットは補助にしかならないと思う。それのみでブランディングを敢行するのは相当難しい。
それは、ネットが口コミマーケティングという側面を色濃く持っている性質もあるだろうし、なによりユーザーが能動的態度である媒体であることが大きい。
テレビやラジオ、雑誌みたいに受動的媒体ではない*1。そこが大きい。
広告において、ユーザーの能動性とはものすごく相性が悪いものだと思う。
それは、目的のコンテンツを閲覧するときには広告はすなわち邪魔なものにしかとらえられないし、そもそも気が付かない。
メディアの理屈でいえば、「1PVで0.01円って話にならねー」だけど、広告主の理屈でいっても「1PVで0.01円って話にならねー」なんだ。
もうさ、ネット広告やめようや。