tohokuaikiのチラシの裏

技術的ネタとか。

デザインの値段と、品質

http://d.hatena.ne.jp/nagaShima/20090114/p2

WEBのデザインやってる会社は大抵ページ単価で見積もりを作ってくるけど、それを「単価2倍で良いからクオリティー上げて欲しい」という注文を受けられるのかと言うこと。

うちの場合、デザインフィーは「ベース価格+(ページ単価×ページ数)」ですね。ベース価格がデザイン料で、ページ単価はコーディング料+テキスト起稿代。

なので、このベース価格の見積もりをどうするかっていうのがデザインの見積もり。コーディングは単純作業だから。

デザインの見積もり感覚は、直接クライアントになるとか、デザイン系の仕事しないとわかんないですよねー。直接クライアントになっても、何回も発注しないとわかんないかもしれない。私も制作請負をやるようになって(ちょっとだけ)わかるようになってきた。

デザインの精緻化

デザインやってる人と仕事するとよく「精緻化」っていうキーワードを耳にする。なんじゃそれ?っていう。

ようは、コードのリファクタリングというか、いろんなシーンで使えるように細部を詰めるとか。・・・・って言ってもわからんよね。このあたりは言葉で説明するのが難しい。私もデザイナーではないし。

でも、結局はシステムの見積もりとあんま変わんないと思います。

仕様書もつくる

たとえば、弊社の隣には、ロゴを作ってる会社があるんですが、ロゴを作ったとして、それがどんなシーンで使われるか。Webだけで使うなら、Webブラウザだけを考えればいいけど、それを名刺や封筒に貼ったり、シャツを作ったりとかいろいろ考えるとそれぞれに耐えられるような仕様を決めなければならない。

この仕様って、仕様書になってます。たとえば、慶應大学の場合ロゴについてってページがあってその中に慶應義塾VIガイドラインってのがPDFでダウンロードできます。この仕様書を作るのもデザイナーの大切な仕事です。

まー、Webの場合はほとんど作らないかも。Web作る時には既存のデザイン仕様書があって、それに従って作ることがほとんどだから。

でも、大きなサイト作るときは後々の更新でページとかコーナーを増やす時のために仕様書を作ることもあります。

デザインするバックグラウンドをどれだけ的確につかめるか

さっきの話に戻ると、そもそも、ロゴを一個作るにもそのバックグラウンドとして企業背景があってそれを一目で表現できる説得力がないといけない。だから、隣のデザイン会社の仕事を見てると、最初に延々とクライアントの企業研究をしてます。企業の工場を見学したり、その分野の他の会社の研究もする。そして、良い点を見つける。とにかく、自分がその企業のファンになろうとする。

そういうのって、キリがないけど逆にどれだけやるかで見積もりにも響きます。その辺はさじ加減ひとつ。

あと、こういう仕事するデザイナーにはデザイン能力と同時にとんでもない提案能力・プレゼン能力が課せられます。隣の会社のデザイナーのプレゼントか聞いてると「無理、俺にはムリ・・・」って尻尾を巻きたくなります。戦闘能力がとてつもなく高くて、多分金融やってもシステムやっても大丈夫だと感じる。

なので、弊社も本気でWeb展開をしたいと考えるクライアントの仕事をする際には、隣の会社を紹介します。そこで開発されたロゴやテーマカラーを使うとデザインがぐっと楽にしかもクオリティが高く仕上がります。

まぁ、お値段も高くてロゴ一個で百万単位のお金が必要ですから、ほとんどの場合その時点で話が止まってしまいますけど・・・。でも、いい仕事します。

あとはセンスによる需給関係かなーやっぱり

あと、センスの良いデザイナーには仕事がいっぱい集まるから、需給関係で必然的に高くなる。正直、このセンスは・・・・磨きようない部分もある。日々、どれだけ興味を持ってデザインのことを考えているとか、街の風景見ても、テレビ見てても「あ、この組み合わせは良いよな」とか心にとどめてデザインのネタにすることを考えてるか・・・・。

そう考えると、まぁ、30超えてから「未経験だけどデザイン頑張ります!」って言っても流石に雇えない・・・らしい。その時点で「こういうサイトを自分が作りました」とか「こういう絵を描いています」みたいなポートフォリオがあれば別だけど、たいてい商業ベースのWebとは合わない・・・らしい。

実際、どうなん?

んで、弊社の場合はデザイナーなんて2人しかいなくて*1、実質使えるのは一人なので松竹梅は付けられんです。結局は、デザイン提出の時に1案出すか、2案出すかを最初に決めて見積もるくらいですね。

それくらいしかないよね。基本、「手直しは2回」とか決めても言われれば直さんわけには行かないし。。。このあたりはディレクターがうまく仕切ってくれないと無限ループで地獄行き。

なんか、結局賭けです。

基本的に提出したデザイン案についてあれこれクライアントから意見を盛り込めば盛り込むほど、破綻してしまうことが多くて、時間もかかるし、出来も悪くなることが多いです。クライアントの要望には応えたいし、結局は商業製品なので、盛り込んで行っても破綻しないように努力するんですが・・・。このあたりはシステムだと理屈で不可能なことがありますが、デザインの場合は理屈があってもできることはできるので、「これがいい!」とクライアントに言われるとそうせざるを得ないケースもあります。

もちろん「あ、そういう方法もあるよね」というのでどんどんと良くなることもあるのですが、難しいです。

そうなると、モチベーションも下がって「あー、こんなに手間かかるならもうちょっと高くすれば良かったー」とかなります。

でも、そんなの事前にはわかりません・・・・。だから、「えいやっ!」で出します。取引のあるクライアントならだいたいわかるんですけどね・・・。デザインの見積もりは難しいです。

・・・こうしてみると、システムの場合とあんまり変わらんような気がするんだけどなー。

*1:つーか、社員がプラス私で3名だけだけど。