tohokuaikiのチラシの裏

技術的ネタとか。

アプリケーションがどうやってUTF-8を理解して表示しているのか?そして、なぜ「間違ったUTF-8エンコード」を解釈してしまうのかを考えてみた

前回のエントリで、「 なんで世にあるアプリケーションは1バイトで済むUTF-8を3バイト表現でもOKなんて勘違いをするの?」って書いたけど、なんでかを考えてみた。

きっかけは、コメント

きっかけは、id:kick123からもらったコメント

「C2〜DFはC0〜DF?」ってところですが、1バイトで表現できるのは7ビットまでで、80を表現するには8ビットが必要です。
2バイト表現にあてはめるなら、「1100 0010」と「1000 0000」になり、1バイト目はC2になる。
ってことではないですか?

これ、最初「???」って感じだったんです。

理解するために、とりあえず「UTF-8で1byteで表せる文字一覧」を作ってみる。
utf-8_mapping_1byte
utf-8_mapping_1byte posted by (C)ITOH Takashi


これ出すのに使ったプログラムは、PHP

<?php
for ($i=0; $i<=base_convert("01111111", 2, 10); $i++){
	printf("\"%s\" , \"0%07s\" , \"%04s\" , \"%s\"\n",
		   $i,
		   base_convert($i, 10, 2),
		   base_convert($i, 10, 16),
		   hex2bin(strval(base_convert($i, 10, 16))));
}

function hex2bin($hex_str)
{
	return pack("H*" , $hex_str);
}

まぁ、PHP読めるならこのプログラムは分かりやすい。読めなくてもわかりやすいと思うけど。PHPは。

で、この次が知りたい。

1byteで表せる範囲は分かった。じゃあ、この次にどうくるのか?

当然、2進数で「01111111」なので次は、「11111111」・・・・と行きたいところなんだけど、UTF-8の1byteではこの表現は取れない。

じゃあってんで、2byte使うことにする。UTF-8の2byte表現は、前回のエントリに書いたとおり

  1. 最初の1byteは、110xxxxx という形式にする
  2. 次の1byteは、 10xxxxxx という形式にする

ここで、注目しなければならないのは、「次の1byteで自由に使えるのは6桁まで」ということ。なぜ注意しなければならないか?

それは、さっきの1byte表現UTF-8で既に7桁目を使っているからである。

つまり、2byteを使って129個目のUTF-8文字を作る時には、次のように考える

クリップボード01
UTF-8の2byte最初の1文字 posted by (C)ITOH Takashi

なるほど、id:kick123のとおりUTF-8の2byte表現の最初の1byteは「C2」からでなければならない。

ここで、「なぜ、2通りの表現の仕方があるのか?」に気づく

ここで、ハタと気がついた。

2byteのUTF-8文字で、最初の1byteが「11000000」だったり、「11000001」だったりするUTF-8文字って「あってはならない」ものなんじゃないか?

あってはならない・・・・しかし、ありえる。

と。


ためしにやってみる。PHPで。

ターゲットは、1byte表現が01...で始まるものなら何でも良いんだけど、さっきの一覧表からとりあえず「z」をターゲットにする。1byte表現は「 "01111010"」

<?php
$n = base_convert( "01111010"  , 2, 16);
echo hex2bin(strval($n))."\n";

は、確かに

と出る。当然だ。

で、次は、この2byte表現。「11000001」「10111010」を確かめてみる

<?php
$n = base_convert( "11000001"."10111010"  , 2, 16);
echo hex2bin(strval($n))."\n";

も、やっぱり

と出る!!

ただし、前回の記事のように、これが本当に「z」なのかを確かめてみる

<?php
$n = base_convert( "01111010"  , 2, 16);
echo hex2bin(strval($n))."\n";

$n = base_convert( "11000001"."10111010"  , 2, 16);
echo hex2bin(strval($n))."\n";

と、

EUCではあれだったけど、ShiftJISでは違った結果が出た。

これが、いわゆる冗長なUTF-8エンコードってやつだろう。

じゃあ、アプリは何で?って話。

前回のエントリで不明だった「なんでそんな勘違いをしてしまうのか?」って点。

ここまで自分で手を動かしてデコードしてやっとわかった。

それは、多分おおよそのアプリケーションは、「UTF-8の定義部分を削除して、意味のある部分だけをガッチャンコしてデコードしている」からじゃないか?

ということ。

こんな感じ。応用すれば、どんな文字でも行ける。


クリップボード05 posted by (C)ITOH Takashi


まぁ、これそもそもサーバサイドでチェックすべき項目かっていうと、自分自身としては「ブラウザなりのアプリの解釈がトロくさいことやってる」と思うんで、ブラウザ側で異常なUTF-8は異常なまま表示させてくれよーって思うけど、まぁそんなこと言ってもサーバ側の対応もやんなきゃいけないことだよね、PHPでも。このあたりはサーバサイドとクライアントサイドと開発者はお互い様ってことで。


しかし、UTF-8をDefineしたときは、こんな穴があるなんて思いもしなかったんだろう。
だけど、自分みたいなぺーぺーがこのコードの成り立ちを理解しようとすると「ハタ」と気付いてしまって、「じゃあ・・・」って思ったりするんだな。初心者目線大切。