企業サイトを手掛けると言っても色々ある。中でもよく勘違いされるのは、「リニューアル」と「リストラクチャリング」の混同だ。
この話は非常によくわかる。
リニューアルでもある程度は企業分析しますけどね
いわゆる企業ホームページを作ろうとする場合(それが新規であってもリニューアルであっても)、自分なら何を最初にやるか。
それは、その企業を知ること。その企業の理念や沿革はもちろん、現状での強みやこれからの事業戦略など、おそらく経営者やそれに近い人でないとわからないこと。
できれば、その企業を知る時点で自分自身がその企業のファンになれれば良いものができると思う。そういう意味では自分の価値観に合わない企業の制作依頼は請けにくい。
それらを知った上で、その企業のホームページを見る主体(その企業の直接の客や取引先、あるいは従業員)を想定して「じゃあ、ホームページで訴求したいことはこれですね」ということになるんだけど。
まぁ、自分は最低限の「リニューアル」でもそれくらいは必要だと思ってて、それはそれで
とにかく手掛ける企業の持つビジネススタイルと顧客マインドは全部異なる上に、企業文化も全然違うので、決してあるパターンを導入すればそれで結果が出るというものではないのです。吊るしの既製服じゃなく、体型にピッタリ合ったオートクチュールの作業と言う感じでしょうか。
という感じ。だから結構疲れる。いや、単に自分が方法論を知らないだけかもしれないけど。
リストラクチャリングが企業に与える影響の大きさ
でも、信蔵さんの言ってる「リストラクチャリング」ってそれより深い話になるんだよね。
それって、結局その企業のブランディングを再構築していくっていうことになって、
「じゃあ、ロゴも変えましょう」
「企業のキャッチフレーズも変えましょう」
「イメージカラーはこれにしましょう」
っていうことなんかも視野に入れるわけで。
そうなると、Webだけじゃなくってその企業の使ってる名刺や封筒・看板や、頒布してるグッズがあればそれも(現在のものは償却して)作り変えるってことになる。それは当然、広告の人では無理だし*1「デザイン表現を主体としている個人や会社には到底出来るものでもない」。
そのあたりは、ブランディング戦略とか企業マーケティングとかの話になっちゃうから、まぁとてつもなく広いわけです。
クライアント企業はどこまでを求めているのか?
そこで問題は、「本当に『Webのリニューアルをしたい』って言ってきた企業がリストラクチャリングまで求めているのか」っていうところだと思う。
リニューアルを依頼してきた企業の中には、現状のWeb基準からいうと明らかに「パッと見で時代遅れ感」を醸し出しているところもあって、そういうのって一刻も早く見た目だけでもリニューアルしたいんだと思う。*2
そういったところに、「じゃあ、リストラクチャリングから必要ですね」って言ってもまぁ時間も予算も気力もないワケで。それ提案しても、十中八九却下されるのがオチなんで。
クライアントにしてみれば
「そんな、オーダーメイドじゃなくていいよ、とりあえず結婚式に着ていくのにこれじゃもう古いから」
って感じなもんだと。
まぁ、信蔵さんもその辺りは多分踏まえていて、逆に信蔵さんくらいだとオーダーメイドの仕事が多いんだろうけど、私らは信用的・単価的に低めなので半オーダーメイドくらいの仕事をやっているという仕事を請けるクライアントの領域が違うっていうだけの話だと思う。
うちは、そういう意図のクライアントが来たら、隣にある会社と仕事します。うちの会社の発展系がそういったこともする会社にすべきかどうかはまだよくわかりません。
そんな自分でも、広告の人の発言は違うと思う。別の意味で。
だけど、エントリの冒頭で出てきた広告の人の
「あまり効果もないみたいだし、もう企業サイトをピカピカにするという時代は終わった感じだね…」。
っていうのは明らかに上っ面な感じで、私のような仕事を領域とするWeb制作者にとっても「いや、それは違うんじゃないですか?」って思う。
世の中の企業サイトを見てみて、「あ、古いな」っていう企業は大から小まで色々あるわけで、Webが変わっていくにつれ、それをリニューアルし続けるっていう仕事自体も無くならないんじゃないかって思うわけで。クルマが使えるのに陳腐化して買い換えるように。
いや、ある意味広告の人の意識は理解できてそれはもっと悪意を持ってとらえると
- 「じゃ、ホームページのリニューアルしましょ」でちょっと体の良いデザイン会社に丸投げしてもあんまり中抜きできなくなったよね。バブルって本格的に終わったよね。
っていうことなんじゃないか。
なので、確かに、
僕としては「この人わかってないなー」って思ったんだけど、その人は広告の方の人だし、「いやそれは違うでしょ」とその場で言っても時間の無駄だなと思ったのと、もっと別に話したい人もいたので、にっこりしながら「そうですねー」と言っておいた。
っていう対応はものすごくわかるし、適切だと思った。
しかしBlogSpotって、トラックバックないのか・・・。